2010年
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2010年夏季の天候再現実験に成功― 近年の海水温上昇が猛暑を底上げ ―
国立大学法人東京大学大気海洋研究所の研究グループは、高解像度の大気大循環モデルMIROC[※1]を用いて2010 年夏季の全球的な天候再現実験を行い、日本周辺の暑夏だけでなく、北米東岸やロシア西部の高温の状況を再現することに成功した。こうした北半球各地域の暑夏の主要因が、ラニーニャに関連する熱帯海水温の偏差および北極域の海氷減少であることをつきとめ、特に8月の日本に猛暑をもたらした太平洋高気圧の強化が、熱帯域の高い海水温によることを明らかにした。さらに、追加実験から、過去30年ほどの長期的な海水温の..
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無黒点太陽の磁場が気候を変えた ―樹木年輪から解明した17-18世紀の急激な太陽地球環境変動―
東京大学大気海洋研究所の山口保彦(大学院生 博士課程1年)、横山祐典准教授および、東京大学宇宙線研究所の宮原ひろ子特任助教は、名古屋大学の中塚武教授、名古屋工業大学の庄建治朗助教らの研究グループと共同で、17-18世紀に70年間続いた長期太陽無黒点期(マウンダー極小期)において、太陽磁場活動が周期的に極端に弱化し、北半球の広範囲の気候に影響していたことを発見しました。奈良県の樹齢390年超のスギなど樹木年輪の分析から明らかにした、世界初の成果です。
日射量ではなく太陽磁場の変動シグナルが広範囲の気候に.. -
表題雲の組織化を直接計算できる数値モデルを用いた温暖化想定実験で熱帯低気圧の変化予測に大きな一歩
1. 概要
独立行政法人海洋研究開発機構(理事長 加藤康宏)の大内和良特任技術研究副主任、山田洋平研究技術専任スタッフ及び佐藤正樹招聘主任研究員(国立大学法人東京大学大気海洋研究所(所長 西田睦)准教授)らは共同で、世界で初めて雲の生成・消滅を直接計算できる全球大気モデル(※1)を用いて地球シミュレータによる温暖化想定実験を行いました。
この実験により、気候が温暖化すると、地球全体での熱帯低気圧(台風およびハリケーンを含む)の発生数が減少し、一方では勢力の強いものの割合が増えるという気候変動に関する政府.. -
海の生物 世界規模で把握 データ2210万件 10年がかりで
「海の生物 世界規模で把握 データ2210万件 10年がかりで」「プロジェクト今秋完了」
世界中の海で生物の分布や多様性を調べる巨大プロジェクト「海洋生物センサス」(Census of Marine Life, CoML)が今年10月に終了します。記事では、同プロジェクトの目的や意義、今後の展開などについて紹介されています。動物プランクトン調査の担当グループの共同代表を務める西田教授の談話も掲載されています。
参考:CoMLホームページ.. -
横山祐典准教授が共同首席研究員として乗船する、2月上旬からの統合国際深海掘削計画(IODP)のオーストラリアグレートバリア掘削についての記事が、新聞に掲載されました。
「世界最大のサンゴ礁沖を初掘削=過去2万年の気候変動解明へ」
発表先:時事通信、日経新聞、静岡新聞、北海道新聞等(2010年1月25日).. -
津波石と言われている伊原間東海岸(石垣島)の巨大なハマサンゴが、1771年の明和大津波によって打ち上げられたことが、サンゴの年代測定や津波石の分布状況などから示されました。年代測定を担当した荒岡さんによる談話も掲載されています。..
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ウナギは川や湖などの淡水域で成長し,そこから数千キロメートルも離れた外洋で産卵 を行うことが知られています.しかしながら,ウナギがなぜこのような大規模な回遊を行うの か,長いこと謎とされてきました.今回,東京大学海洋研究所の塚本勝巳・西田睦教授と千葉 県立中央博物館の宮正樹上席研究員らの研究グループがロンドン大学の井上潤研究員らと共 同で行なった詳細な遺伝子解析により,ウナギが外洋の深海に生息していた祖先から進化して きた可能性が高いことが明らかになりました.ウナギの産卵大回遊は,餌が豊富な熱帯・亜..