約19億年前の地層から未報告の微生物化石を発見 ~初期原生代の特異な地質環境が原核生物の多様な進化を促した~
2022年8月29日
東北大学大学院理学研究科
東京大学大気海洋研究所
「原核生物から真核生物への進化が、いつ、なぜ起こったのか」という生命進化史上最大の疑問の一つに、わずか0.01mmの化石がヒント与えてくれるかもしれません。東北大学大学院理学研究科の笹木晃平大学院生らの研究チームは、約19億年前(=初期原生代)の微生物化石であるガンフリント微化石の調査を行い、従来の報告にはない形状をもつ、コロニー型、楕円型、細胞組織内包型、有尾型、トゲ型の5つの新型の微生物化石を発見しました。これらはそれぞれコロニー形成、栄養備蓄、さらに運動性や栄養確保といった生存に有利な機能を発現させたものです。さらには、詳細な形態観察や微小領域化学分析により、その一部は真核生物特有の形状である可能性が明らかになりました。本研究により、原核生物は、真核生物の化石が地層に確認され始める約18-16億年前より前から機能を様々に多様化させ進化の“準備”を始めていた可能性が新たに示されました。
本研究の成果は、学術誌「Precambrian Research」に2022年8月19日にオンライン掲載されました。
※佐野有司 名誉教授(現 高知大学海洋コア総合研究センター長)、海洋化学部門の高畑直人 助教が発表論文の共著者に加わっている研究成果です。
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東北大学プレスリリース(2022年8月29日)