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甲状腺の初期進化 -ヤツメウナギ内柱の祖先性を覆す新しい進化シナリオ-

2022年4月1日

理化学研究所
東京大学 大気海洋研究所
兵庫医科大学

理化学研究所(理研)開拓研究本部倉谷形態進化研究室の高木亙基礎科学特別研究員(研究当時、現東京大学大気海洋研究所助教)、生命機能科学研究センター形態進化研究チームの倉谷滋チームリーダー(開拓研究本部倉谷形態進化研究室主任研究員)、兵庫医科大学生物学の菅原文昭准教授らの国際共同研究グループは、顎のない脊椎動物である円口類のヌタウナギの「甲状腺」と、ヤツメウナギの幼生が持つ甲状腺の類似器官、「内柱」の発生を詳細に解析し、これまで祖先の名残と考えられてきたヤツメウナギの内柱が、ヤツメウナギ現生種の系統で独自に獲得された可能性を見いだしました。

本研究成果は「ヤツメウナギの幼生が、祖先的な脊椎動物の姿を反映している」とする従来の考えに疑問を呈し、脊椎動物の初期進化に対する新しいシナリオを提示するものです。

今回、国際共同研究グループは、ヌタウナギの甲状腺の形成過程を形態および遺伝子レベルで詳細に解析し、ヌタウナギの甲状腺が顎のある脊椎動物(顎口類)の甲状腺と非常によく似た発生様式を示すことを明らかにしました。さらに、ヤツメウナギの甲状腺関連遺伝子を解析した結果、甲状腺と内柱では時空間的な遺伝子発現パターンが異なっており、甲状腺と内柱は異なる分子基盤をもとに発生することが分かりました。近年のヤツメウナギ類の化石の知見とあわせて、「ヤツメウナギ類が幼生期に一過的に発生させる『内柱』は、脊椎動物に近縁なホヤなどが保持する祖先的な内柱を受け継いだものではなく、二次的に獲得されたものである」とする新たな仮説を導き出しました。

詳しくはこちらをご覧ください。
  理化学研究所プレスリリースこのリンクは別ウィンドウで開きます(2022年4月1日)

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