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ウナギ産卵場研究 急展開! ―蒲焼きの危機に福音―

2011年7月10日

大気海洋研究所 塚本勝巳ほか

2011年6月28日から29日にかけて、独立行政法人海洋研究開発機構が運航する学術研究船「白鳳丸」によるウナギ産卵場調査航海(KH-11-6:主席研究員:塚本勝巳、次席研究員:望岡典隆)は、天然のニホンウナギ卵百数十個を採集することに成功した。今回のウナギ卵採集によって、世界で初めてテレビカメラの前に天然のニホンウナギ卵の実物がその姿をあらわすことになる(2009年の初発見時に採集したウナギ卵は、遺伝子解析のために船上ですべてすり潰してしまい、現存しない)。

写真:白鳳丸により採集された発育段階の異なるウナギ卵。採集によるダメージを受けたものも多い。

 

採集場所は2009年の成果から想定されていた西マリアナ海嶺と交差する塩分フロントの南側海域であった。また、採集された卵の発達段階とそれぞれの採集日時から逆算すると、ウナギは新月の4~2日前の毎晩、複数の異なる産卵集団を形成して産卵に至るものと考えられる。 産卵場をピンポイントで予測し、卵や仔魚を確実に採集することが可能となった今、ウナギ産卵場研究は資源予測や人工種苗生産を視野に入れた新たな時代に突入したといえる。

さらに、今回の成果は2009年のウナギ卵採集(2011年2月報道)に続くものであるが、百個以上の卵が採集されたことにより、7粒のホルマリン固定標本を得ることができた。これら標本は、船上の研究者のみならず、多くの一般市民に天然のニホンウナギ卵を観察する機会を提供する。 7月16日(土)~10月16日(日)に、本郷の東京大学総合研究博物館において特別展示「鰻博覧会―この不可思議なるもの」を開催する(入場料無料)。この展覧会会場で、一般の方にもひろくこの天然のウナギ卵の標本を公開する予定である。 「鰻博覧会」ウェブページ:http://www.um.u-tokyo.ac.jp/exhibition/2011UNAGI.html

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