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世界中の地層から、1952年頃に人の影響を示す痕跡の急増を発見! ―人類が地球システムを圧倒し始める時点が初めて明らかに―

2024年9月24日

愛媛大学
東京大学
松山大学
京都大学
島根大学

「人間活動の圧力は、いつから地球システムに根本的な変化をもたらし始めたか」。この問いは、人新世がいつから始まったかという問いでもあります。しかし、地球システムに対する人間の影響は徐々にその強さを増し、時間・空間を超越するという性質があるため、この問いは依然として解けない難問の一つでした。こうした人為影響の時空超越性は、人新世の層序学的境界を定義する試みを複雑にしてきた原因にもなってきました。

愛媛大学の加 三千宣教授と、東京大学、オーストラリア国立大学、松山大学、京都大学、島根大学、産業技術総合研究所の共同研究グループは、人が地球システムを根本的に変え始めた時点を解明するため、過去7700 年間の世界137 地点における人為的影響を示す痕跡を地層記録から調べました。その結果、人の痕跡が増加し始める三つの時期を特定し、中でも、1948年から1953年(1952±3年)以降に、 PCBなどの有機汚染物質やマイクロプラスチックの初検出、プルトニウムなどの大気圏核爆発による放射性核種の急増など、高度な技術革命を反映する多数のシグナルが地球規模で見られ、こうした人為影響の痕跡数の前例のない急増が、どの地域もほぼ同時に起こっていることが判明しました。これは、人間活動が地層記録媒体に多様な人の痕跡を地球規模で刻むことができる程の強大な力を持つようになったことを反映しています。その後、温室効果ガスによる気候の自然変動からの逸脱など、地球システムの不可逆的な変化が起こっています。こうした人為痕跡の世界的急増とその後の地球システムの根本的変化は、人間の影響が地球システムの中で支配的でなかった完新世(11700年前以降)の条件下では起こり得なかった現象であると考えられます。すなわち、1952±3年の人為痕跡の急増ポイントは、完新世でない時代の到来、いわゆる「非公式の人新世」が始まった時点と捉えることができます。こうした人為痕跡に基づく開始年代は、人新世の始まりを議論する上で将来的に重要性を増すと期待されます。

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