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恐竜時代にまで遡るコイやナマズの起源! 遺伝子分析で明らかになった淡水魚の多様化と地球史の密接な関連

2011年7月22日

東京大学大気海洋研究所  西田 睦
千葉県立中央博物館 宮 正樹

現生魚類の約4割は淡水魚で、その主要なものは骨鰾類 (こっぴょうるい) と呼ばれ るコイやナマズのなかまです。骨鰾類は 8000 近くもの多くの種を含み、南極大陸を除く世 界中の淡水域に分布しますが、なぜ海を隔てて遠く離れた大陸に、このように多くの骨鰾 類のなかまが生息するのか大きな謎とされてきました。今回、東京大学大気海洋研究所の 西田 睦教授と千葉県立中央博物館の宮 正樹上席研究員らの研究グループが共同で行なった 詳細な遺伝子解析により、1) 骨鰾類はかつて世界の大陸が一つ (巨大大陸パンゲア) だった 時代 (約 2 億 5 千万年前) に海水魚として起源し、その後淡水環境に適応したこと;2) 中生 代初期 (2 億 5000 万~2 億年前) に起こった大陸の分断 (ローラシア大陸とゴンドワナ大陸 への分断) が骨鰾類の4大グループ (コイ類・カラシン類・ナマズ類・デンキウナギ類) の 分化と一致していること;3) 中生代の中頃 (2 億~1 億年前) にかけてのさらなる大陸分断 (現在見られる大陸への分断) と4大グループ内の著しい多様化が一致していることが明ら かになりました。今日見られる 8000 近い種の多様性は、大陸分断に伴い湿潤な沿岸部が拡 大し、気候の温暖化と相まって4大グループ内の多様化が促進されたと推測されます。現 生骨鰾類の多様性は、恐竜時代にまで遡る地球環境の大きな変化に伴い形成されてきたこ とになります。この結果は電子ジャーナルである BMC Evolutionary Biology に 6 月 22 日付 けで暫定版が、7 月 21 日に正式版が公表されました。

発表資料はこちらPDFファイル(369KB)

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