杉本隆成名誉教授が瑞宝中綬章を受章
更新日:2024年06月03日
杉本隆成 名誉教授が、令和6年春の叙勲において、瑞宝中綬章を受章されました。
杉本先生は、日本近海の黒潮前線波動や黒潮続流から派生する暖水塊、津軽暖水渦などの中規模現象の力学的機構、およびその生物生産に果たす役割に関する研究を展開され、とくに、回転水槽を用いたメキシコ湾のループ流と暖水塊の発生機構に関する研究は海外でも高く評価されています。また、レジームシフトに代表される数十年スケールの海洋気候変動が海洋生態系に及ぼす影響を従来の統計手法や数値実験だけでなく、無酸素底泥層のボーリング調査で得られた試料を分析し、数百年間にわたり継続する現象として明らかにしました。この間、GLOBEC (Global Ocean Ecosystems Dynamics) の運営委員として日本GLOBECの立ち上げに貢献されたほか、PICES(North Pacific Marine Science Organization)の科学委員会委員としてアジアおよび北太平洋周辺国の海洋科学の啓発に貢献してきました。さらに、水産海洋学会会長として研究を力強く牽引するだけでなく、カナダのT.R.Parsons 教授と共同で刊行を開始した同学会の国際誌であるFisheries Oceanography は、日本の水産海洋研究を国際的に強くアピールすると同時に、その研究の国際的な発展に大きく寄与したといえます。
杉本隆成名誉教授の長年の教育ならびに研究の卓越したご功労が認められ、本章を受章されたことを心よりお祝いいたします。(海洋生物資源部門 木村 伸吾)
▼内閣府 - 令和6年春の叙勲等
https://www8.cao.go.jp/shokun/hatsurei/r06haru.html

この度は令和6年春の叙勲を受けることになり、大変光栄に存じます。ひとえに長期に亘り、諸先輩方、同僚、後輩に支えられつつ、好きな研究に打ち込めたことによるものと心から感謝しております。
また、この場をお借りして、共に歩んできてくれた家族と共にこの栄誉を喜びたいと思っています。
今後も、微力ながらも海洋研究を通して地球環境問題に向き合っていきたいと願っております。
東京大学名誉教授 杉本 隆成