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ヤドカリの“宿”を作るイソギンチャク「ヒメキンカライソギンチャク」が世界の注目すべき海洋生物の新種トップ10(2022年)に選ばれました

更新日:2023年03月23日

国際・地域連携研究センター地域連携研究部門(大槌研究拠点)の吉川晟弘 特任研究員らが2022年に新種として発表した「ヒメキンカライソギンチャクStylobate calcifer」が、国際的な海洋生物のデータベースであるWoRMSから世界の注目すべき海洋生物の新種トップ10(2022年)(Ten remarkable new marine species from 2022)に選ばれました。
掲載ページ:
https://lifewatch.be/en/worms-top10-2022#Stylobates_calciferこのリンクは別ウィンドウで開きます
(1)3月19日は「分類学者に感謝する日」とされていて、それを記念して、海洋生物種の世界登録簿(WoRMS)では毎年、「注目すべき海洋生物の新種トップ10」が選出されます。
(2)今回選ばれたヒメキンカライソギンチャクStylobate calciferは、特定の1種のヤドカリと共生するだけでなく、その“宿”を作るという極めて独特な生態を持っています。
(3)“ヤドカリの城”を作るその姿になぞらえて、本種はスタジオジブリの映画「ハウルの動く城」の原作となった小説「Howl's Moving Castle」に登場する火の悪魔「カルシファー」に因んで、Stylobates calciferと命名されました。

3月19日、国際的な海洋生物のデータベースであるWorld Register of Marine Species(通称WoRMS)は、2022年に新種記載された約2,000種の海洋生物の中から、注目すべき新種のトップ10を発表しました。その1種として、東京大学大気海洋研究所附属国際・地域連携研究センターの吉川特任研究員らを中心とする研究グループが発表した「ヒメキンカライソギンチャクStylobate calcifer」が選ばれました。吉川研究員らが新種として記載したヒメキンカライソギンチャクは、ヤドカリが棲む巻貝の上に付着し、その“宿”を増築するという極めて珍しい生態を持ちます。いわば“ヤドカリの城”を作るその姿になぞらえて、本種はスタジオジブリの映画「ハウルの動く城」の原作となった小説「Howl's Moving Castle(日本語タイトル: 魔法使いハウルと火の悪魔)」に登場する火の悪魔「カルシファー」に因んで、Stylobates calciferと命名されました。これまでキンカライソギンチャク属の種は、世界中から4種のみ知られておりましたが、本種が5種目、かつ日本近海からは初の報告となりました。

■ヒメキンカライソギンチャクStylobate calcife Yoshikawa & Izumi 2022
大きさ:高さ1~2 cm 幅(直径):3~4 cm
分布域:房総半島から紀伊半島にかけての水深約100~400mの深海底
特徴:本種は特定の1種のヤドカリ、ジンゴロウヤドカリと共生関係を築いています。また宿主ヤドカリが貝殻の引っ越しする際には、ヤドカリがヒメキンカライソギンチャクを新しい貝殻へと持ち運ぶ行動も確認されているため、両者は非常に強い共生関係にあると予想されます。

■選出団体
World Register of Marine Species (WoRMS)
https://www.marinespecies.org/index.phpこのリンクは別ウィンドウで開きます
WoRMSとは、海洋生物種の学名と分類学的情報に関するデータベースを構築する大規模な国際プロジェクトであり、世界各地の研究機関に所属する600人以上の研究者が「編集者」となり、それぞれが専門とする海洋生物種に関する情報の登録を行っています。WoRMSでは毎年、前年に発表されたすべての海洋生物の新種から「注目すべき海洋生物の新種トップ10」を選出し、「分類学者に感謝する日」とされている3月19日に発表しています。

■発表論文
雑誌名:「Biological Bulletin」(2022年4月25日付)
論文タイトル:Carcinoecium-forming sea anemone Stylobates calcifer sp. nov. (Cnidaria, Actiniaria, Actiniidae) from the Japanese deep-sea floor: a taxonomical description with its ecological observations
著者:
Akihiro Yoshikawa*, Takato Izumi*, Takeya Moritaki, Taeko Kimura, Kensuke Yanagi
DOI番号:https://doi.org/10.1086/719160このリンクは別ウィンドウで開きます

■2022年4月26日掲載プレスリリース「ヤドカリの“宿”を作る新種のイソギンチャク!? ―深海の驚くべき共生関係」
https://www.aori.u-tokyo.ac.jp/research/news/2022/20220426.html

■問い合わせ先
東京大学 大気海洋研究所 附属国際・地域連携研究センター
特任研究員 吉川 晟弘(よしかわ あきひろ)
E-mail:akj.kt.ex80gmail.com    ※「◎」は「@」に変換してください

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