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塚本勝巳名誉教授が瑞宝中綬章を受章

更新日:2022年04月29日


塚本勝巳 名誉教授

2022年4月29日の褒章発令において、塚本勝巳名誉教授が瑞宝中綬章を受章されました。塚本先生は、「動物の旅の理由やメカニズム」に対するご興味から、特に海と川を行き来する「通し回遊魚」を対象として研究を展開されました。アユ、サクラマス、ウナギをモデルに進められた研究は、それぞれの種に関する生態学的理解を進展させただけでなく、通し回遊の基本原則や回遊行動の進化など新たな学術基盤を構築し、魚類生態学の発展に大きく寄与しました。特に、有史以来の謎であったウナギの産卵回遊の全貌を解き明かした研究は、科学史に残る金字塔として世界中の研究者が認めるところです。1970年代に北太平洋のウナギ産卵場調査を開始した塚本先生は、生態学のみならず海流や地磁気、海底地形など様々な知見を総合し、産卵の場所を絞り込む「海山仮説」とそのタイミングを決める「新月仮説」の2つの仮説を提唱されました。その後、不断の努力により2005年にふ化直後の仔魚、2009年にはウナギ卵の発見と親魚の捕獲という海洋生物学史に残る快挙を成し遂げ、これらの仮説を証明することに成功されました。一連の白鳳丸によるウナギ産卵場調査航海は、今でも世界の研究者の間で語り草になっています。一方、自ら執筆した小学4年生の国語の教科書「うなぎのなぞを追って」を題材に、全国の小学校へ赴きウナギを通じて自然との共生を考える授業を実施されました。「うなぎキャラバン」と銘打たれたこの活動では、2015年から3カ年にわたり全国で計259回、数千人の児童に直接語りかけることとなりました。この授業に感銘を受けた子供たちからは、たくさんのお礼の手紙や作文などが送られています。こうした一連の業績に対し、昭和61年4月の日本水産学会賞(奨励賞)を皮切りに、平成18年4月に日本水産学会賞、平成19年4月に日本農学賞・読売農学賞、平成23年6月に第22回太平洋学術会議畑井メダル、平成24年6月に日本学士院エジンバラ公賞、平成24年11月に第61回神奈川文化賞(学術)、平成25年7月に第6回海洋立国推進功労者表彰、平成25年10月に日本イノベーター大賞特別賞、そして令和3年9月には世界水産学協議会・アメリカ水産学会の国際水産学賞(International Fisheries Science Prize)など多くの賞を受けられました。この度のご受賞に対し、研究室のOBをはじめ国内外の共同研究者、友人ならびに関係者の皆様からたくさんの祝意が寄せられています。(附属国際・地域連携研究センター 青山 潤)

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