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古気候研究におけるプロキシとモデルの融合

更新日:2024年08月06日

(2024年8月8-9日 開催)

日    時:令和6年8月8日(木)10:30~16:30
          8月9日(金)09:30~15:00
場    所:東京大学大気海洋研究所2F 講堂 & 1階ホール
       〒277-8564 千葉県柏市柏の葉5-1-5 TEL 04-7136-6009
コンビーナー:佐川拓也、金沢大学、tsagawastaff.kanazawa-u.ac.jp
大気海洋研対応者:松崎賢史、海洋底科学部門、kmatsuzakig.ecc.u-tokyo.ac.jp

※アドレスの「◎」は「@」に変換してください    

本研究集会の目的は、古気候復元の研究手法であるプロキシとモデルシミュレーションを用いた最新の研究成果について情報共有し、プロキシ−モデル融合研究の可能性を議論することである。特に、PMIP (Paleoclimate Modeling Intercomparison Project) などで着目している時代(鮮新世から第四紀の顕著に温暖あるいは寒冷な時期や退氷期の1万年スケールの連続的な時間変化など)に焦点を当てて議論を行うことで国際的なプロジェクトへの貢献を目指すとともに、日本のコミュニティが世界を先導できるトピックスの開拓も目指す。過去の気候変動の復元とメカニズムの理解は主に、海底堆積物やサンゴ・氷床コアなどを用いた古気候プロキシと、気候モデルを用いた数値的アプローチによって行われる。古気候プロキシは様々な時間スケールにおいて実際に起こった気候変化の定性的・定量的復元に優れている一方、復元データの空間的なカバー率や理論的説明には制限がある。気候モデルは変動の空間的分布の把握や観測データの理論的説明に優れている一方、長期間のシミュレーションには計算機資源の制限や実データによる裏付けが必要である。そのため、古気候変動の包括的な理解のためにはプロキシとモデルの融合は欠かせないが、国内の両コミュニティが一堂に会して議論する場は限られている。本研究集会では最新の研究動向の把握に加えて、コミュニティ間のギャップや融合可能性の高い日本独自のトピックスを洗い出し、我が国の古気候研究コミュニティの国際的プレゼンスを高めることを目指す。

プログラム

8月8日(木)

10:30~10:40 趣旨説明
10:40~11:10 堀川 恵司(富山大):鮮新世における西南極氷床の融解:砕屑物同位体データと氷床モデル
11:10~11:40 Sze Ling Ho(NTU): Challenges and opportunities in the proxy-model comparison of ocean temperature reconstruction
11:40~12:00 ポスター紹介
12:00~14:30 昼休憩 & ポスターセッションコアタイム
14:30~15:00 佐川拓也(金沢大):熱帯太平洋域のMPTにおける水温勾配の変化
15:00~15:30 中川祥緒・阿部彩子(東大AORI): 鮮新世とMPT前後の氷床ー気候ー海洋変化の謎
15:30~16:00 関 宰(北大):鮮新世の大気CO2濃度~400ppmという推定値は本当か?
16:00~16:30 議論

8月9日(金)

09:30~10:00 吉森正和(東大AORI):最終間氷期の気候シミュレーションにおいて雲相の温度依存性が北極温暖化へ与える影響について
10:00~10:30 Ru-Yun Tung(NTU):Variability of the Kuroshio Current over the past 25 kyrs: Insights from multi-species planktonic foraminiferal δ18O and Mg/Ca paleotemperature
10:30~10:45 休憩
10:45~11:15 シェリフ多田野サム(琉球大):LGM AMOC across PMIP phases and its dominant driver 
11:15~11:45 小長谷貴志(JAMSTEC):MIROCによる退氷期のシミュレーションと他モデルとの比較
11:45~12:00 小林英貴(富山大):最終退氷期における海洋炭素循環モデリング
12:00~13:30 昼休憩
13:30~14:00 根本夏林(東大AORI):ベリリウム同位体を用いた完新世の大気循環復元研究
14:00~14:30 渡辺泰士(気象研):完新世の気温復元に関するモデルとデータの齟齬
14:30~15:00 議論

ポスター発表

  1. シェリフ多田野サム(琉球大学):気候モデルMIROCによる最終間氷期実験と解け水流入実験
  2. May Huai-Hsuan Huang(Princeton Univ.):Developing ostracod body size as a deep-sea paleo-oxygen proxy: a case study in the Quaternary North Atlantic
  3. 松崎賢史(AORI):Variability of the Indonesian Throughflow and Australian Monsoon across the Mid Pleistocene Transition (IODP 363, Site U1483)
  4. 藤見唯衣(富山大学):浮遊性有孔虫のMg/Ca比個別個体分析を用いた過去二万年間の黒潮大蛇行の発生頻度解析方法の検討
  5. 内田貴之(金沢大学):Low to mid-latitude sea surface temperature change and its latitudinal gradient though glacial-interglacial cycles
  6. Zihan Huang(AORI):三陸沖のアワビ貝殻に見る人新世の海洋変動
  7. 粕谷拓人(九州大学):チリ沖堆積物に記録された南米パタゴニア氷原の氷期-間氷期変動
  8. 大藪幾美(極地研):ハインリッヒ亜氷期の東南極氷床における顕著な涵養量の増加
  9. Taro Higuchi(AORI):大気海洋植生結合モデルMIROC4m-LPJから得られた白亜紀中期、始新世前期、現代の地理条件の違いが気候場に及ぼす影響

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