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人新世国際標準模式地認定に向けた別府湾での取り組み

更新日:2021年04月02日

(2021年3月27日 開催)

東京大学大気海洋研究所 共同利用研究集会

主催:東京大学 大気海洋研究所
共催日本第四紀学会
環境研究総合推進費(SII-3-2)「PCB・POPsに関する時系列評価と環境管理方策に資する分析化学的研究」

日時:令和3年3月27日(土)13:00〜17:15
場所:ZoomによるWebinar(参加登録が必要です)
コンビーナー:加 三千宣(愛媛大学)TEL 089-927-9654
大気海洋研対応者:横山祐典(環境解析分野)TEL 080-7127-5540
参加申込以下リンクのGoogle formから登録をお願いします
https://forms.gle/YsT8gQ8NmCT6yxnJ7このリンクは別ウィンドウで開きます
このリンクは別ウィンドウで開きます
登録後、Zoom情報をお送りいたします(ウェビナー登録は400人までとなります)

研究集会の概要

地球温暖化に代表されるように、産業革命以降の人為撹乱による地球環境変化は、長い地球史から見ても、著しく大きな変化の一つである。そうした近年の大規模な地球環境変化から、完新世という地質時代はすでに終わり、我々が生きている時代は人新世(じんしんせい; Anthropocene)という新たな地質時代であるという主張がなされるようになった。地質時代の設定には原則として,その時代を代表する地層(国際標準模式地:GSSP)の設定が必要であるが,人新世のGSSPについてはまだ決まっていない。現在、人新世GSSPの候補が検討されているが、日本の別府湾海底堆積物が候補の一つとして現在検討されている。別府湾プロポーザル研究グループは、別府湾堆積物に記録される人新世境界(1950-60年代)前後の地球規模の環境・生態系変動を明らかにし、別府湾堆積物が人新世の模式地に選定されることを目指している。

本集会では、研究グループの最新の成果の報告とGSSP認定に向けた取り組みについて各講演者に発表頂き、人新世GSSP認定の可能性について情報を共有し、認定に向けた今後の方針について議論する場としたい。また、最近日本でも徐々に使われ始めた「人新世」という地質時代について広く一般に普及することも本集会の目的としたい。「人新世」という言葉は、2000年にノーベル化学賞受賞者Paul J. Crutzenの提案以降、学術分野のみならず、ローマクラブ等の識者、政治家、宗教家、文化人等、あらゆる分野ですでに広く使われるようになったが、未だ科学的に定義されたものではない。人新世GSSPの設定は、これまで曖昧であった人新世の始まりを地球史において明確に定義し、『人類がもたらした新しい地質時代の到来』が科学的根拠に基づいてはじめて公に認められることを意味する。人新世という新たな時代の到来の認識は、SDGs(持続可能な開発目標)のように地球環境問題の早期解決を求める世界の潮流を後押ししてきたが、人新世GSSPの誕生は、人新世という地質時代を招いた全人類への警鐘のシンボルとなり、地球環境問題に対する迅速な人類社会変革の必要性が世界に広く認知される機会となることが期待される。

 

プログラム

13:00-13:05
開会の挨拶 加 三千宣(愛媛大学)

座長:高橋真(愛媛大学)
13:05-13:30「人新世GSSP候補としての別府湾プロポーザルの概要」
演者:加 三千宣

13:30 -13:45「別府湾表層堆積物に保存された葉理の組成変動と成因」
演者:鈴木克明(産業技術総合研究所)、加 三千宣(愛媛大学)、池原研(産業技術総合研究所)、新井和乃(高知大学)、村山雅史(高知大学)

13:45 -14:00「別府湾の超極微量プルトニウム同位体に記録された人新世のシグナル」
演者:横山祐典(東京大学)・Stephen Tims・Michaela Froehlich(オーストラリア国立大学)・阿瀬貴博(東京大学)・Keith Fifield(オーストラリア国立大学)・平林頌子(立正大学)・Dominik Knoll(オーストラリア国立大学)・加 三千宣(愛媛大学)・宮入陽介(東京大学)・Stephen Pavetich(オーストラリア国立大学)

14:00-14:15「人新世GSSP設定における球状炭化粒子(SCPs)の役割と別府湾における記録」
演者:井上淳(大阪市立大学)・竹中夏子(大阪市立大学)・加 三千宣(愛媛大学)

14:15-14:30 —休憩—

座長:井上淳(大阪市立大学)
14:30-14:45「別府湾最深部におけるマイクロプラスチック堆積量〜75年間の変遷〜」
演者:日向博文・加 三千宣・川又勇人・桝本一成・真瀬充臣(愛媛大学)

14:45-15:00「別府湾および琵琶湖底質柱状試料におけるPCBs・POPs残留濃度・フラックスの時系列解析」
演者:高橋 真・Hoang Quoc Anh・青野大地・渡邊 功・加 三千宣(愛媛大学)・槻木玲美(松山大学),国末達也(愛媛大学)

15:00-15:15「AIQSターゲットスクリーニング法をもちいた別府湾底質コア中人為起源物質の網羅的分析」
演者:上野大介(佐賀大学)・高橋真(愛媛大学)・加 三千宣(愛媛大学)・門上希和夫(北九州市立大学)・宮脇崇(福岡県保健環境研究所)・松神秀徳(国立環境研究所)・倉持秀敏(国立環境研究所)・酒井伸一(京都大学)

15:15-15:30「別府湾堆積物における重金属濃度の歴史トレンドの解明」
演者:阿草哲郎(熊本県立大学)

15:30-15:45 —休憩—

座長:阿草哲郎(熊本県立大学)
15:45-16:00「堆積物に残存する色素からみた1900年以降の別府湾藻類群集の変化」
演者:槻木玲美(松山大学)・Peter Leavitt(レジャイナ大学)・谷幸則(静岡県立大学)・加 三千宣(愛媛大学)

16:00-16:15「水圏パリノモルフ群集から診た別府湾奥部の過去150年間の環境変化」
演者:松岡數充(C/O長崎大学環東シナ海環境資源研究センター)・小島夏彦(大阪工業大学)

16:15-16:30「堆積物に残留する真核生物DNAからみた1970年以降の別府湾環境の変化」
演者:山本正伸・瀬川雄大(北海道大学)・加 三千宣(愛媛大学)

16:30-16:45「人新世の研究動向」
演者:齋藤文紀(島根大学)

16:45-17:15  総合討論進行:横山祐典(東京大学)

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