南限のサケ研究 -地域性に基づく新たな生物資源像-
更新日:2016年05月25日
(2016年7月22日 開催)
日 時:平成28年7月22日(金)10:00~17:30
場 所:東京大学大気海洋研究所2F 会議室
〒277-8564 千葉県柏市柏の葉5-1-5 TEL 04-7136-6009
コンビーナー:青山 潤・北川貴士・兵藤 晋(東京大学大気海洋研究所)
開催趣旨
我が国のサケ・マス研究は北海道に集中している。このため本州・東北地方のサケ個体群については、水温条件や複雑な海岸地形、沿岸海洋構造など主要分布域とは異なる環境にあるにもかかわらず、その地域的生態特性は十分明らかになっていない。分布縁辺部の個体群に関する知見には、サケ科魚類の生態学・進化学研究に新たな視点を提供することが期待できる。一方、サケ・マスに関する民俗学研究も主要産地である北海道と産品を運ぶ北前船の経路にあたる東北・日本海側に集中し、特に北上山地と険しい海浸崖に隔てられた三陸沿岸の情報はほとんど得られていない。そこで本研究集会では、東北マリンサイエンス拠点形成事業の成果を含め、分布南限域のサケ・マス個体群に関する知見を取りまとめ、その地域的生態特性を明らかにするとともに、民俗学的側面にも焦点を当て、甚大な震災被害を受けた東北・太平洋岸サケ資源の生物・生態学的および文化的価値を再構築することを目的とする。
プログラム
7月22日(金)
10:00-10:10 開会挨拶
青山潤(東京大学・大気海洋研)
10:10-10:55 太平洋サケ南限域のサケ文化〜日本と北米インディアンとの比較から
小谷竜介・今井雅之(東北歴史博物館)
10:55-11:40 三陸のサケと北海道のサケ
浦野明央(北海道大学名誉教授)
11:40-11:50 東北マリンサイエンスにおけるサケ研究
兵藤晋(東京大学・大気海洋研)
昼食
13:00-13:30 南限のサケ資源像 -南限のサクラマスが示す太平洋サケの環境適応の可変域-
棟方有宗(宮城教育大学)
13:30-13:50 大槌湾におけるサケ回帰親魚の行動生理学的解析
野畑重教(東京大学・大気海洋研)
13:50-14:10 大槌湾におけるサケ稚魚分布調査と今後の展開
北川貴士・阿部貴晃・伊藤元祐(東京大学・大気海洋研)
・川上達也(東京大学・農学部)
14:10-14:30 岩手県の秋サケ資源について
山根広大(岩手県水産技術センター)
14:30-14:50 三陸小河川における野生サケ稚魚の降下生態について:ここ数年の調査から
玉手剛・大本謙一・○佐々木系・八谷三和(東北区水産研究所)
14:50-15:10 コーヒーブレイク
15:10-15:30 岩手県におけるアキサケ漁業の長期変動と問題点
後藤友明(岩手大学・農学部)
15:30-15:50 サケ稚魚の成長および海水適応に関わるインスリン様成長因子の機能
森山俊介(北里大学・海洋生命科学部)
15:50-16:10 シロザケ稚魚の腸内フローラに関する研究
清水恵子(北里大学・海洋生命科学部)
16:10-16:30 環境DNAを用いた大槌湾のサケの生態学的研究
荒木仁志(北海道大学・農学研究院)・○峰岸有紀(東京大学・大気海洋研)
16:30-17:20 総合討論
17:20-17:30 閉会挨拶
兵藤晋(東京大学・大気海洋研)