水族館と動物行動学。 研究・展示・教育
更新日:2015年12月11日
(2015年12月11-12日 開催)
コンビーナー
猿渡敏郎 東京大学大気海洋研究所
西 源二郎 元葛西臨海水族園
植田育男 新江ノ島水族館
会期:2015年 12月11日(金) 13:00~ 12月12日(土)17:00
会場:東京大学大気海洋研究所 2F 講堂 & エントランスホール
アクセス:http://www.aori.u-tokyo.ac.jp/access/index.html
代表者連絡先:猿渡敏郎 東京大学大気海洋研究所
〒277-8564 千葉県柏市柏の葉 5-1-5
Tel: 04-7136-6263、e-mail:tsaruwat◎aori.u-tokyo.ac.jp
※メールアドレスの「◎」は「@」に変換して下さい。
開催趣旨
日本には、海なし県も含め全国に68の水族館が存在する。いずれの園館も常に新しい展示生物、飼育展示方法、教育活動の開発に取り組んでいる。その成果として、日本の水族館の飼育技術と社会教育機関としてのレベルは世界一である。飼育展示分野の技術革新のたまものとして、渓流域から深海まで、あらゆる水環境を園館内に再現し、そこに生息する水生生物を飼育展示し、その生態を観察可能にしている。水族館学芸員による研究から、成長に伴う形態変化、性転換、社会構造、摂餌生態、繁殖行動等に関する新知見が多数蓄積されている。水生生物の生きた姿を長期間にわたり連続して観察することが可能な水族館ならではの研究成果である。本研究集会では、現在水生生物の行動生態学を研究している大学、諸研究機関、水族館の研究者を集め、お互いの研究成果と情報交換の場を提供する。そして、今後フィール観察と飼育という異なる研究手法を得意とする者同士がいかに協同して水生生物の行動生態学を発展させるか議論を深める場とする。世界的にも類を見ない、日本独自の研究プロジェクトの萌芽を生む研究集会となることが期待される。
プログラム
口頭発表:東京大学大気海洋研究所 2F 講堂
12月11日(金)
13:00~ 開催趣旨説明 猿渡敏郎(東京大学大気海洋研究所)
13:05~ 基調講演 サンゴ礁魚類の性転換―野外実験と飼育実験で謎を解く―
桑村哲生(中京大学)
14:05~ 魚類の多様な繁殖生態とその進化―佐渡の海からアフリカの湖まで―
安房田智司(新潟大学理学部附属臨海実験所)
14:40~ ハゼ科カスリモヨウベニハゼの繁殖生態―雌雄同体の分類群に見られた雌雄異体種―
福田和也(東京海洋大学・館山ステーション)
15:05~ 休憩
15:15~ チューブスナウトAulorhynchus flavidusの雄の繁殖行動について
〇小味亮介・加茂耕太朗(葛西臨海水族園)・
高溝晴玖・赤松佑磨・山田和海・赤川 泉(東海大学海洋学部)
15:40~ ツバメコノシロ科魚類Polynemus multifilisの遊離軟条の機能―水槽観察、研究から行動展示へ―
土井敏男(神戸市環境保全指導課:元須磨海浜水族園)
16:05~ 展示飼育下で確認されたゴンズイ、ホンソメワケベラ等による掃除行動
〇伊藤寿茂・唐亀正直・神応義夫(新江ノ島水族館)
16:30~ ポスター発表
17:30~ 懇親会 (東大大海研 エントランスホール)
12月12日(土)
10:00~ フグ目魚類にみられる繁殖行動の多様性
川瀬裕司(千葉県立中央博物館分館海の博物館)
10:35~ イレズミフエダイの初期発生と繁殖戦略
井田 斉(北里大学海洋生命科学部)
11:10~ 潮間帯にみられるカマキリの産卵場
〇野口文隆(東海大学海洋科学博物館)・荒尾一樹(相模湾海洋生物研究会)
11:35~ 卵生サメ類の水槽内での産卵行動
柴垣和弘(アクアワールド茨城県大洗水族館)
12:00~ 昼休み
13:00~ ポスター発表
13:30~ 基調講演 水族館飼育・展示魚類の鎮静・麻酔とその応用
和田信平(日本獣医生命科学大学)
14:30~ 魚類におけるハズバンダリートレーニングの有効性
恩田紀代子(海遊館ニフレル事業部)
14:55~ 休憩
15:10~ 海洋博公園に生息する野生ヤシガニ
〇岡慎一郎・宮本 圭・松崎章平(沖縄美ら島財団)
15:35~ 水槽内におけるヒメイカの行動観察
春日井 隆(名古屋港水族館)
16:00~ 飼育下で観察された有尾類2種(コガタブチサンショウウオ、岐阜県産アカハライモリ)の繁殖行動
田上正隆(世界淡水魚園水族館 アクア・トトぎふ)
16:25~ 総合討論
17:00~ 閉会のあいさつ 西 源二郎 (元葛西臨海水族園)
ポスター発表 東京大学大気海洋研究所 エントランスホール
コアタイム: 12月11日 16:30~17:30 & 12月12日 13:00~13:30
1、 オオメンダコの水槽内行動の観察
松崎浩二(公益財団法人ふくしま海洋科学館)
2、 駿河湾におけるメンダコの生態 予報
〇猿渡敏郎(東京大学大気海洋研究所)・柳本卓(中央水産研究所)・
松崎浩二(公益財団法人ふくしま海洋科学館)
3、 小型電子標識を用いたカツオ・マグロ類の野外行動計測
青木良徳(東京大学大気海洋研究所)
4、 ジンベエザメの放流直後の潜水中に見られた体温低下と周回行動
〇中村乙水(東京大学大気海洋研究所)・松本瑠偉・松本葉介(沖縄美ら海水族館)・
佐藤克文(東京大学大気海洋研究所)
5、 遠隔操作型水中探査機(ROV)を用いた陸棚周辺海域の底生生物採集の試み
山内信弥(公益財団法人ふくしま海洋科学館)
6、 館山におけるウツボの繁殖期およびペアリング行動
大森尚也(東京海洋大学・館山ステーション)
7、 マゴチの雄性先熟性転換と野外における繁殖行動
原 若輝(東京海洋大学・館山ステーション)
8、 侵略と脱出:イチモンジハゼのハレム社会と双方向性転換
棚沢友美(東京海洋大学・館山ステーション)
9、 館山湾におけるベラ科オハグロベラ雄の繁殖成功と雌の産卵場所利用
佐久間光貴(東京海洋大学・館山ステーション)
10、 カニの木登り行動展示~半水棲カニ類の飼育下における定位場所選択
伊藤寿茂(新江ノ島水族館)
11、 ナガレホトケドジョウはどこで産卵するのか?
〇青山 茂(神戸市立須磨海浜水族園外来研究員)・
土井敏男(神戸市環境保全指導課:元須磨海浜水族園)
12、 静岡県下2河川におけるアマゴの生息地選択に関連する環境要因の定量的分析
〇松村 哲(葛西臨海水族園)・大西修平(東海大学海洋学部)・
川嶋尚正(静岡県水産振興課)・楢島弘隆・赤川 泉(東海大学海洋学部)
〇:演者