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熱水活動域の生態学:生態系の研究と環境影響評価

更新日:2013年04月17日

(2013年5月27日~28日 開催)

東京大学大気海洋研究所 共同利用研究集会

日    時:平成25年5月27日(月) 9:30~17:00
            5月28日(火) 9:30~17:00
場    所:東京大学大気海洋研究所2F 講堂
       〒277-8564 千葉県柏市柏の葉5-1-5 TEL 04-7136-6011

コンビーナー:山本啓之、海洋研究開発機構、連絡先:kyama◎jamstec.go.jp
大気海洋研対応者:小島茂明、海洋生態系動態部門、連絡先: kojima◎aori.u-tokyo.ac.jp
  メールアドレスの「◎」は「@」に変換して下さい
 

プログラム

【趣旨】

海洋の熱水活動域は、地上と比べると最も異質な生態系である。しかし、40億年前から現在まで、連綿として生産力の高い生態系を維持し続けており、ここを調べれば生態系の片翼である化学合成の大きさを知ることに、また生命起源あるいは生態系の始まりを知ることにもつながる。学術研究では、発見から30年余りにわたる調査研究から熱水活動域の世界分布と多彩な生息環境の有り様が示され、この10年では熱水生態系の基本構成や生物の分散と定着のメカニズムなど多様な生物群集の姿が明らかにされてきた。今はまさに、生物圏において熱水生態系がいかに重要な存在であるかを豊富な知識にもとづいて語るべき時代にある。

熱水活動域が注目されるもうひとつの側面が、熱水から生み出される鉱物資源である。生物生産を支える原動力である熱水循環は、同時に熱水鉱床を間断なく生み出している。熱水鉱床の開発計画は進んでおり、国内でも試験採掘が準備される状況にまできている。資源関連の研究は、鉱床の成因、鉱床探査や採鉱に加えて、持続的に環境を利用するための影響評価の技術研究も進んでいる。潤沢な熱水生態系の知識とすぐれた調査研究の技術は、深海生物圏の環境影響評価の方法に直結するが、それだけではなく生態系自体の現状を知り、変動の予測をも可能にする。人間社会が求めている、「自然の変動を知り、開発と利用を適切に管理する技術(ecosystem based management)」は、生態系の科学から生み出される。

研究集会では、初日に最新の研究をもとに様々な視点から見た熱水生態系の姿、翌日に熱水生態系の見えない構造や構成を可視化する新たな試みを紹介し、熱水の生態学を応用した環境影響評価についての議論をし、熱水生態学のさらなる展開を考えたい。

5月27日(月)
9:30~17:00 (昼食:12:00~13:00)

1. 熱水活動域の生息環境
「熱水域の化学環境」
  川口慎介 (海洋研究開発機構・海底資源LP)
「熱水循環」
  辻 健  (九州大学・カーボンニュートラルエネルギー国際研究所)
「熱水鉱床」
  野崎達生 (海洋研究開発機構・海底資源LP)

2.  熱水活動域の生物群集
「熱水の微生物生態系」
  高井 研 (海洋研究開発機構・海底資源LP)
「熱水プルームの生態系」
  砂村倫成 (東京大学・理学部)
「ベントス群集の生態系」
  渡部裕美 (海洋研究開発機構・海底資源LP)
「熱水生態系のバイオマス」
  中村謙太郎(海洋研究開発機構・海底資源LP)

5月28日(火)
9:30~17:00 (昼食:12:00~13:00)

3.  熱水活動域の生態系ハビタットマッピング
「ハビタットマッピング」
  Thornton Blair (東京大学・生産技術研究所)
「熱水活動域における環境モニタリング」
  野口拓郎・福場辰洋 (海洋研究開発機構・海洋工学センター)

4. 熱水生態系を評価するために
「深層の流れと生物分布」
  御手洗哲司 (沖縄科学技術大学院大学・海洋生態物理学)
「生物分布の数理解析」
  中嶋亮太 (海洋研究開発機構・海洋極限環境生物圏領域)
「バイオインフォマティクスの利用と考え方」
  岩崎 渉 (東京大学・大気海洋研究所)

5. 総合討論
「熱水生態系における環境影響評価の方法論」
 ファシリテーター:石橋純一郎(九州大学・大学院理学研究院)・小島茂明(東京大学・新領域/大気海洋研究所)・山本啓之(海洋研究開発機構・海底資源LP)

 

出版・メディア

研究集会