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令和2年度退職教員による図書紹介(佐野有司 教授)

更新日:2021年03月16日

高解像度環境解析研究センター 環境計測分野 佐野 有司 教授

■心に残る一冊

寺田寅彦(著)『科学歳時記』
KADOKAWA/角川ソフィア文庫(2020年5月刊)
384ページ / 文庫判 ISBN:978-4-04-400586-3 価格:840円(税別)

去る2月中旬に、私が東大退職後に赴任することが内定した大学のある町の本屋で、たまたま見つけて購入した文庫本です。40年以上前の駒場の教養学部1年生の時に、科学者に憧れて読んだのですが、内容はすっかり忘れていました。この本の著者は高知の出身者であり、博士課程で指導していただいた本郷の理学部教授の先生の先生の、そのまた先生です。実験物理の教官でしたが、夏目漱石の弟子として有名な随筆家です。つまり、今後の赴任先の町出身であり、指導教官の学系先祖という二重の縁があります。彼は多数の随筆を残しましたが、本書では随所に科学者の息吹を感じます。約百年前の格調高い美しい日本語で書かれていて、非常に読みやすいです。身の回りで起こる様々な現象を冷静な科学者の目で眺め、分かりやすく説明しています。虫や花の観察は素晴らしく、記載の仕方が海洋科学の研究にも通じるものがあり、心に残る一冊になりましたのでここに紹介しました。学部生や大学院生にもお勧めいたします。

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