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カツオクジラの立ち泳ぎ採餌 ~ヒゲクジラ類における受動的な採餌行動の発見~

2017年11月9日

岩田高志(セントアンドリュース大学)
佐藤克文(東京大学大気海洋研究所)

東京大学大気海洋研究所・セントアンドリュース大学の岩田高志研究員らは、中央水産研究所、タイ沿岸資源研究所、プーケット海洋生物研究所の共同研究グループとともに、タイ王国のタイ湾に生息するカツオクジラが立ち泳ぎ採餌をすることを発見しました。この餌獲り様式は、カツオクジラを含むナガスクジラ科の動物において従来報告されている突進採餌(餌の群れに向かって口を大きく開け突進する)とは完全に異なるものです。研究グループが実施した目視による直接観察と動物に装着した行動記録計とビデオカメラから、カツオクジラは立ち泳ぎをしながら、水面で口を開け、餌の小魚が口の中に入ってくるのを待つ方法で餌を獲っていることがわかりました。この立ち泳ぎ採餌は受動的な餌獲り様式であるため、採餌に必要なエネルギーは、突進採餌に比べて小さいことが考えられます。

調査海域のタイ湾は富栄養化によって水面付近以外は貧酸素な環境となっているため、餌の小魚も水面にしか生息できない環境となっています。カツオクジラの立ち泳ぎ採餌は、水面に広がる餌を獲るのに効率的であると考えられます。

立ち泳ぎ採餌は単体の大人もしくは大人と仔供のペアで観察することができます。大人と仔供のペアでの立ち泳ぎ採餌は、社会学習であることが示唆されます。また他の地域のカツオクジラにおいて、立ち泳ぎ採餌の報告が無いことから、この行動は地域特異的な行動であることがわかります。社会学習や地域特異的な行動という点から、タイ湾で見られる立ち泳ぎ採餌は文化的行動である可能性が考えられました。

研究グループが示したカツオクジラの立ち泳ぎ採餌は、ヒゲクジラ類における受動的な餌獲り様式の最初の報告となりました。またこのことは、カツオクジラが様々な環境に対して、柔軟に対応する能力を持つことを意味しています。


写真: 立ち泳ぎ採餌中のカツオクジラ
カツオクジラは立ち泳ぎをしながら、水面で口を開け、餌の小魚が口の中に入ってくるのを待ちます。

掲載論文
雑誌名:Current Biology
タイトル:Tread-water feeding of Bryde’s whales
著者名:Takashi Iwata, Tomonari Akamatsu, Surasak Thongsukdee, Phaothep Cherdsukjai, Kanjana Adulyanukosol, and Katsufumi Sato

研究トピックス