は38億年にわたって生命を育んできた地球最大の生物圏である.また多様な生命活動と物理・化学作用により,巨大な緩衝系として地球生命体のホメオスタシス(恒常性)を維持してきた.しかし近年急速に増大した人間活動のインパクトにより,地球温暖化や海洋汚染,資源の枯渇など重要な問題が続出している.こうした地球と人類の存続をおびやかす地球規模の諸問題を解く鍵はすべて海のなかに隠されている.我々は早急に海洋の生命システムと生物過程のダイナミクスを解明し,これらの難問に取り組まねばならない.

本研究は,次の4つの視点から海洋生命系のダイナミクス解明に取り組む.

  • 海洋の生命の歴史を遡る“生命史”
  • 多様な海洋環境に適応した海の生命の諸機能のメカニズムを探る“機能系”
  • 複雑にからみ合った海の生態系のからくりを解きほぐす“連鎖系”
  • 海の生物資源の変動機構を解明する“変動系”

    本研究の目的は,これら4つの視点について学際的・総合的基礎研究を展開し,海洋生命系のダイナミクスの全貌を過去・現在・未来の地球史の時間軸に沿って包括的に解明することにある.また以上を総合して,陸上生物を中心に形成されてきた従来の生命観に変わる新しい“海の生命観”,“地球観”を創成することもその狙いとしている.

研究テーマ

Copyright (c) 2000. Ocean Research Institute, The University of Tokyo.