ヨモツヘグイニナIfremeria nautilei
基本データ
採集海域:南太平洋北フィジー海盆ホワイトレディ(White Lady site)
採集水深:約2000m
標本サイズ:2cm程度
ヨモツヘグイニナは,南太平洋の深海熱水噴出域に生息する黒色の殻を持つ大型の巻貝で,大きいものでは殻幅が10cmを超えるものもあります.鰓に共生細菌を有する,南太平洋の豊富な生物群集の中心的存在です.
詳細データ
ヨモツヘグイニナの名前の由来となった「ヨモツヘグイ」とは,黄泉の国(死者の国)の竃で煮炊きしたものを食べることを意味します.
地獄の釜のような,高温の熱水が吹き出す深海底で発見された時には,この大きな巻貝は,ヨモツヘグイだと考えられたのでしょう.しかし,実際には,ヨモツヘグイニナの消化器官はあまり機能的ではないので,ヨモツヘグイではないのかもしれません.これまでに,鰓に化学合成細菌を共生させていることが分かっていますが,実際にはどのように栄養の受け渡しが行われているのか分かりません.
最近の研究では,ヨモツヘグイニナが中心となった生物群集において,1平方メートルあたり約45kgという非常に高いバイオマスが観測されています.ヨモツヘグイニナが熱水噴出域に生息することで,地獄の釜が生物にとっての楽園となっているのかもしれません.

CT像の見所
1.貝殻と蓋の隙間からのぞく軟体部(「かたち」モード).
2.貝殻の美しい螺旋(「レントゲン」モード).
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