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大槌レポート[8] 大槌港での「新青丸」披露行事

2013年12月25日

道田 豊(附属国際連携研究センター国際企画分野 教授)

2013年10月4日(金)、岩手県大槌町の赤浜漁港船揚場を会場として、東北海洋生態系調査研究船「新青丸」の披露式典が行われました。新青丸は2013年2月に進水し、6月に竣工、船主・運航者の海洋研究開発機構に引き渡され、試験航海等が行われてきました。

新青丸は、2011年3月の地震・津波により劇的に変わった東北地方沿岸域の海洋生態系について調査研究することにより沿岸漁業の復興支援を行うことを目指す「東北マリンサイエンス拠点形成事業」の推進に必要な船として建造されたもので、震災直後から震災対応関連研究に貢献してきた学術研究船「淡青丸」の後継船です。船籍港が大槌と定められたことから今回の披露式典になりました。

海洋研究開発機構の平理事長による挨拶に続き、同機構と協力してこの船の運用にあたる大気海洋研究所の新野所長から祝辞及び謝辞を述べました。来賓として、文部科学省海洋地球課の木村企画官、岩手県沿岸広域振興局の斉藤局長、大槌町の碇川町長から祝辞が述べられたほか、関係者多数の出席を得て滞りなく式が終了しました。

大槌漁港が復旧工事中で本船は着岸できず、式典会場の地先約150mの海面に停泊していました。そのため、来場者による船内見学はできず、借り上げた小型船に分乗して新青丸の周囲を巡るという形態の視察になりました。一方、着岸していないことで、停泊しているその場で船を静かに回転させるデモンストレーションが繰り返し行われ、新青丸の優れた性能を目の当たりにすることができました。

式典翌日の10月5日には、同じ会場で一般公開行事が行われ、地元住民の皆さんが新造船の美しい姿を見に来場されました。当初想定していた数を大きく上回る来場者があり、最新の推進装置により船がその場でくるりと回転する様子を見て、一様に感嘆の声を上げていました。

式典の模様は、船が海上で回転する様子、大槌町職員から新青丸船長への花束贈呈のシーンと共に、地元のテレビのニュース等で多数取り上げられました。碇川町長の祝辞の中にも、「復興のシンボルとして活躍を期待する」といった言葉があり、地元の方々がこの船の活躍に大きな期待を寄せていることを感じました。大気海洋研究所は、最新鋭の調査研究船を最大限活用し、海洋研究開発機構や国内外の研究者の皆さんと協力して、真に復興に資する研究を推進していく決意を新たにしました。

大槌町のシンボル「ひょうたん島」(蓬莱島)をバックに停泊する「新青丸」

披露式典において祝辞・謝辞を述べる新野宏 大気海洋研究所長

10月5日の一般公開で、大槌湾に浮かぶ新青丸の姿を写真に収める地元の人たち

Ocean Breeze 第14号(2013秋)、大槌リポート[8]より転載