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海の基礎知識

深海の広さ・深さ

陸の高さと海の深さ

私たちの住む地球。水の惑星といわれるように、地球の表面の70%が海です。 しかし、私たちは海全体のほんの一部しか目にしていません。海は深く、海底には山も谷もあります。世界で一番深い海は、日本の南東に位置するマリアナ海溝です。深度は約11,000mで、世界一高い山であるエベレストも沈みます。地球全体の海の深さを平均すると、平均の深さは、約3,800m。富士山が沈むほどの深さです。また、海底は3000mから6000mの深さのところが最も広く、全海洋の70%、地球の全表面積のほぼ半分を占めています。

図1 陸と海

海の垂直区分と割合

地球表面の70%を占める海。その海全体の98%が「深海」です。「深海」とは、太陽の光の届かなくなる200m以深のすべての海をさし、暗黒、低温、高圧が世界を支配します。私たちHADEEPの研究プログラムでは、深海の中でも特に「超深海」を対象として研究をすすめています。「超深海」とは、6,000m以深の海域をよび、主に海溝で濃構成されています。

図2 海の垂直区分と割合

超深海域の分布

「超深海」は、世界のなかでも特に、海底でプレートの沈み込みがおこる日本近海に集中しています。図では、赤色の海域が超深海(6,000m以深)です。海の部分の青色は、濃くなるほど深さが増すことを表しています。

図3 超深海域の分布

深層海流

全海洋をめぐる海水の大循環があります。
北大西洋北部のグリーンランド沖と南極海で冷やされた海水が沈みこみ、冷たく重い深層水になります。深海底を移動した深層水は、インド洋北部と北太平洋でわき上がり、海流の一部となって出発点にもどります。この大循環はベルトコンベアー循環とよばれ、グリーンランド沖で沈んだ海水が北太平洋にたどりつくには約2000年かかります。この循環は、ただ海水が移動するというだけではありません。海水中にふくまれる栄養分を運ぶ大切な役目も果たしており、海の生物の生活にも大きく影響しています。

図4 深層海流

光と水温と水圧

海で光の届くのは、汚染のない外洋でさえ、表面のたった200mだけです。それより深い海は、光のほとんど届かない、暗黒の世界です。温度も、深さとともに下がります。赤道直下の熱帯の海でも、1,000mを超すと5℃以下になります。 圧力は、10mごとに1気圧あがります。11,000mの海では、1,100の圧力がかかります。

図5 光と水温と水圧

海底地形

海底はいつも動いています。 世界でもっとも深い海はマリアナ海溝ですが、すべての海溝は、海底でプレート同士が衝突して地球内部へと沈み込むところに作られます。 プレートは、リソスフェア(岩石圏)からできています。地球表面は何枚かのプレートで構成されており、このプレートがお互いに動いていると説明している学説が、プレートテクトニクスです。プレートの動きは、アセノスフェア以深の、年間数cm程度の、ゆっくりとした物質の流れにより生じていると考えられています。

図6 海底地形

深海の食物連鎖

陸の植物のように、海では植物プランクトンが太陽の光と海水に溶けているリンや窒素を使って栄養を作り出します。その栄養を、動物プランクトン、そして魚が利用します。海の中には私たちの目に見えない微生物もたくさん生きています。細菌や原生動物も栄養の循環の一翼を担っています。このように海に生きるすべての生物がつながりあって海の生態系は成り立っているのです。

図7 深海の食物連鎖

海底・深海調査研究の歴史

深海観測調査船

毎年、東京大学大気海洋研究所とアバディーン大学の研究者が、学術研究船の研究航海に乗船し、超深海の研究にいどみます。今までに、生物がいる海域や水深に関して、いくつかの発見をしました。また、超深海で生物が行動している映像の撮影にも成功しています。捕獲した魚や画像から、新しい生物種や深海魚の生態が明らかになると考えています。 超深海の生物について、正確な情報は世界でもまだごくわずかしかありません。これからの研究航海でも、超深海の研究調査をすすめていきます。

図8 深海観測調査船

最新テクノロジー

研究プログラムでは、イギリスのアバディーン大学オーシャンラボラトリーと共同研究をしています。共同製作した海底設置型長期観察システム(ランダー)を使って、超深海域の物理,化学,地学,生態,資源の総合的調査をしています。ランダーに深海環境に耐えるカメラやビデオを取り付け、超深海に生きる生物を撮影し、そのデータを解析します。また、フィッシュトラップを使って深海魚の捕獲もめざしています。

図9 ランダー