「サケの母川回帰」
1. 神経・内分泌機能:サケの母川遡上には、視索前野から分泌されるサケ型生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(sGnRH)、下垂体から分泌されるII型生殖腺刺激ホルモン(GTHII)、生殖腺から分泌されるステロイドホルモン(テストステロンと17α,20β-デヒドロキシ-4-プレグネン-3-オン)が関与していることが明らかになりました(図2)。しかし、大海原から母川沿岸までどのような神経・内分泌機能が関与しているかは今後の課題です。
2. 嗅覚の母川識別能:サケは母川を嗅覚で識別していると考えられおり、各河川水のアミノ酸組成を定量したところ、河川毎にアミノ酸組成が異なっており、その組成を再現した人工水対する嗅神経応答(図3)は天然水のものと変わらず、サケは河川を識別する時にアミノ酸組成の違いを識別していると考えられます。
3. 母川回帰行動:母川回帰を種々のテレメトリー手法(超音波発信器・電波発信器・マイクロデータロガー:図4)を用いて解析しています。さらに、船舶・音響・システム工学の専門家が参画して、サケ回遊行動自動追跡ロボット船を開発しました。