産業革命以後、人類は生活の便利性、経済性に重点をおいて科学技術を発展させてきた。その結果、地球環境の悪化が進行し、海洋汚染、地球の温暖化、オゾン層の破壊、砂漠化、酸性雨などの地球規模の環境問題を引き起こしてきた。なかでも、有機塩素系化合物(PCBs, DDTs, BHCs,etc.)、有機スズ化合物(TBT, DBT, MBT, etc.)、重金属類(Hg,Cd, Pb, etc.)、放射性核種(Cs, Pu, etc.)などの有害化学物質による海洋汚染は著しく、その動向が社会的に注目されている。本研究では、イルカ・アザラシなどの海洋生物を用いて有害化学物質の蓄積過程を解明すると同時に、甲殻類のワレカラ類などの実験生物を使用して毒性影響のメカニズムに関する研究を実施している。ここではその研究活動の一端を紹介する。

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 大槌湾における海洋環境調査点の紹介

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大槌湾に生息している海洋生物に蓄積しているTBT濃度の比較。ワレカラ類に高濃度に蓄積している。毒性実験の結果では、沿岸域でみられる数十ng/lの海水でも生物毒性が高いことが明らかになった。

         

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大槌湾の底質に蓄積しているTBT濃度の分布図。TBTは現在禁止されているが、依然として湾内のある場所に局在している。

大槌湾の底質に蓄積しているTBT濃度の分布図。TBT濃度は1980年代に最も高く、その後は低下している。しかし、依然として底質に蓄積しており、底質からの溶出が危惧される。

  東京大学海洋研究所と国際連合大学との海洋環境に関する第3回国際海洋環境ワークショップ(2001年10月21-26日)を大槌臨海研究センターで開催した。12ヶ国約50名の研究者が参加し、海洋環境に関する最新の情報を交換するとおもに今後の重要な国際共同研究課題について議論した。

21 November, 2001