生命史・藻類班は細胞内共生とともに世界各地にある海水湖(閉鎖海洋系)に生育する藻類及びその他の海洋生命系を対象に、それらが地理的に隔離された後(海水湖成立後)どのように、固有の進化を果たしてきたかを解明する。そのためにパラオ共和国に点在する3−5の海水湖を調査地と定め、そこのフロラ・ファウナを確立し、代表的な種を選び出し、それらの形態、細胞、遺伝学的特徴を明らかにする。同時に代表的な種ごとの姉妹種(地理的隔離が起こる以前には同種と考えられる現在開放海洋系に生育する生物=バイカルアンス)を隣接する開放海洋系から探し出し、相互比較する。その結果から閉鎖海洋における生命系の固有進化と海水湖成立期の年代推定(微化石解析を依頼)から進化速度を算出し、海洋生命系の進化予測を行う。

パラオ共和国と海水湖(代表的なJellyfish Lake)を示す

Jellyfish Lakeの桟橋

 一般に開放(唯一)されているパラオの代表的海水湖での調査風景

Jellyfish Lakeで最も優占的に生育している緑藻の1種、クサビガタハウチワの押し葉標本

クサビガタハウチワ(湖内)と比較するために隣接海域から収集されたハウチワ類(左:クサビガタハウチワ(湖外),右:テングノハ)

 

クサビガタハウチワとともにJellyfish Lakeで優占的に生育している 左:緑藻ウチワヅタ(湖内)と 右:ケイワヅタ(湖内)
まだ、名前の無い海水湖で優占的に生育している緑藻サボテングサの1種
Fig.8
Fig.9
 海水湖(Jellyfish Lake)には藻類だけでなく他の海洋生命系が多数成育している。その中で最も有名でJellyfish Lakeの名前の由来になったクラゲ類も海藻の固有進化と対比させるため同じ方法で調査を進めている。同じくクラゲの仲間でもミズクラゲ(Fig.8)は開放海洋系のそれと形態的にはほとんど差が無いが、タコクラゲ(Jellyfish Lake,Fig.9と無名の海水湖,Fig.10)は形態、色調が非常に異なる

Fig.10

21 September, 2001