魚類や貝類などの海産動物における個体数変動は、人間が利用する重要な資源の変動として100年以上にわたって研究の対象となってきた。これまでの知見を総括すると、資源変動の幅が北で大きく南で小さいという、緯度方向に特徴的な違いがあることがわかってきた。一方、昆虫類や齧歯類などの陸生動物については、農作物や樹木の害虫・害獣として長い研究の歴史がある。このような研究蓄積の結果からは、陸生動物の個体数変動様式にも南北方向に特徴的な違いがあると考えてよいかもしれない。動物個体数変動様式の南北差が、海域と陸域に共通して存在すると考えることができるか、もし存在するとすればそれはどのような仕組みによっているのか。海産動物と陸生動物の生態研究者の間で最新の知見を報告して、比較生態学的検討を行う。
 プログラム

 3月4日(木)

 13:00〜13:10  開催趣旨の説明  コンビーナー 渡邊良朗
 13:10〜13:50  Prey-predator cycleの南北差  松田裕之(横浜国大)
 13:50〜14:30  環境変動に適応した繁殖戦略  勝川木綿(中央水研)
 14:30〜15:10  イネウンカ・ヨコバイ類の個体群動態熱帯と温帯,西南日本と北日本における地域差  松村正哉(九州沖縄農研センター)
 15:10〜15:30  休憩

 15:30〜16:10

 ブナの葉食性昆虫ブナアオシャチホコの場所依存的大発生  鎌田直人(金沢大理)
 16:10〜16:50  本州東方海域の動物プランクトン生物量の長期変動:親潮域・混合域・黒潮続流域の相違  杉崎宏哉(東北水研)

 16:50〜17:30

 エゾヤチネズミの個体数変動パターンの地理的変異:なぜ北方では大変動するのか?

 齊藤 隆(北大フィールド科学センター)

 

 17:45〜19:30  懇親会

 3月5日(金)

 09:30〜09:50

 亜熱帯海域のキビナゴの繁殖生態と初期生態  白藤徳夫(東大海洋研)
 09:50〜10:10  亜寒帯海域のニシンの繁殖生態と初期生態  千村昌之(東大海洋研)

 10:10〜10:50

 サンマ仔稚魚の成長生残過程の南北差

 渡邊良朗(東大海洋研)

 10:50〜11:30  マサバの個体数変動  檜山義明(西海水研)
 11:30〜12:10  カレイ類の年級群強度の経年変化とその要因  高津哲也(北大院水産)
 12:10〜13:20  昼食休憩
 13:20〜14:00  北のヒラメと南のヒラメ  山下洋・田中庸介・田中克(京大フィールド研)
 14:00〜15:00  総合論議

 お問合わせ

 164-8639 東京都中野区南台 1-15-1
 東京大学海洋研究所
 ywatanab@ori.u-tokyo.ac.jp

 

 Tel. 03-5351-6355

 

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