沖ノ山堆のシロウリガイCalyptogena soyoae

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基本データ

採集海域:相模湾沖ノ山堆


沖ノ山堆は相模湾にそびえる1000m強の“山”である.その西側斜面の麓にはメタンを含む水が湧いており,本種をはじめとした化学合成群集が分布している.本標本もこの沖ノ山堆で採集された.

詳細データ

本種は1957年に報告されたがその生態は長年の謎であった.その後1980年頃に熱水噴出孔周辺から発見されイオウ酸化細菌をエラに共生させて生きる化学合成生物であることが明らかとなった.日本周辺では1984年のしんかい2000による相模湾の潜航調査で生きている姿が確認された.本種の学名であるCalyptogena soyoaeのsoyoaeは1957年に本種を採集した水産庁の蒼鷹丸(そうようまる)に由来する. ちなみに,二枚貝の二枚の殻は靱帯というタンパク質と石灰分でできたものでつながっている(人の体にある靱帯とはまったくの別物).この靱帯はゴムのように引っ張って二枚貝殻を開けようとする方向に力を加えている.つまり二枚貝の貝殻は靱帯の力で常に開こうとしており,開ききらないように閉殻筋(貝柱)で常に閉じようとしていなければならない.このシロウリガイの靱帯はかなり頑強で,CTで見ると内部に高密度領域が観察される.おそらく石灰化がかなり進行していると考えられる.

CT像の見所

1.重厚な殻

2.二枚の殻をつなぐ強靱な靱帯

3.二枚の殻の接合部にある「歯」(かみ合わせ構造によって殻がずれるのを防いでいる)

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