ナラクハナシガイAxinulus hadalis
基本データ
採集海域:日本海溝
採集水深:7333m
採集航海:しんかい6500、Dive#77
採集日:2002年7月21日
二枚貝の仲間.ハナシガイ科に属する.現在のところ,世界でもっとも深い場所に生息する化学合成群集である.エラに化学合成細菌を共生させ,日本海溝のメタン湧水に生息している.和名は水深7000mを超える奈落の底から採集されたことにちなんでいる.
詳細データ
ハナシガイ類は,二枚の殻のちょうつがい部分のかみ合わせ構造(歯と呼ぶ)がないため,ハナシ(歯無し)ガイと名付けられた.ハナシガイ類の多くは化学合成細菌を共生させている.ハナシガイ類は恐竜が陸上を闊歩していた前期白亜紀(1億2千万年前程度)ごろから出現し始めた.通常は海底下に潜って生息しているため,潜水艇などで生貝を狙って採集するのは難しい.
CT像の見所
1.殻のもっともとがった箇所(殻頂)が溶けている様子.深海の低温・高圧環境,高硫化水素濃度によって殻が溶けていると思われる.
2.殻の中に折りたたまれた足.ハナシガイ科二枚貝は意外に長い足をもち,足を海底下に深く伸ばして海底下から湧いてくるメタンや硫化水素を獲得している.その足が本標本ではきれいに折りたたまれて殻に収納されている.
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