チヒロクサウオPseudoliparis belyaevi
基本データ
採集海域:茨城県沖 日本海溝第一鹿島海山付近
採集水深:7703m
標本サイズ:12.7cm SL(標準体長)
2008年10月に,水深7000mを越える超深海域において,世界で初めて生態撮影に成功したのがこの種である.クサウオ科の特徴である寒天質の体をもっているが,吸盤や眼は超深海の環境に適応したためか小さく退化している.
詳細データ
2008年に当研究所HADEEPプロジェクトによって撮影された映像を見てみると,とにかく活発に泳ぎ回っているのがわかる.餌として海底に設置したサバ(味噌煮ではなく,生のサバですよ)に活発に群がっているのがわかる.さらによく見てみると,餌のサバだけではなく,サバに群がるヨコエビ類をも捕食していた.超深海(水深6000m以深のこと)において,底生生物がこんなにも活発に動き回っているとは我々研究者も驚いた.
なお,この映像は,魚類映像としては世界最深のものであるが,捕獲記録としてはプエルトリコ海溝の8370mで採集されたAbyssobrotula galatheae Nielsen,1977(和名ヨミノアシロ)が最深記録である.
注:この調査で撮影された魚は,当初、映像からシンカイクサウオ(Pseudoliparis amblystomopsis)と仮同定されたが,この時に採取された標本を後に佐藤 崇研究員(現・国立科学博物館研究員)が査定したところ,胸鰭に欠刻がなく,シンカイクサウオではなくチヒロクサウオ(Pseudoliparis belyaevi)であることがほぼ明らかになりました.(2013.11.28)
CT像の見所
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