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海山になった研究者-「野崎海山」が国際会議で承認される

更新日:2016年12月22日

2016年12月、故野崎義行教授(1946-2003,無機化学)のお名前を冠した海山「野崎海山」が国際的に認められました。この海山は、南鳥島の北西に位置する高さ2944mの古い火山(図1)です。

海底地形の名前は、固有名+属名の形をとります。属名とは地形の種類を表す単語で、例えば「日本海溝」の名前のうち、「日本」が固有名で「海溝」が属名です。命名に関する規則や個々の名称については、国際水路機関とUNESCOの共同プロジェクトである大洋総深図(GEBCO)という場で国際的な統一がはかられています。日本の調査で発見された海底地形については、調査研究機関や研究者から提案された地形名を国内委員会で審議したのち、GEBCO会議に提案します。この会議で了承されると国際的に認められた名称として海図などに掲載することができます。ただし、このプロセスを知らない研究者が多いため、学術論文において研究者が無名の地形に対して適当な仮称をつけて記載することも実はよくあります。これらは後追いで国際命名提案が行われる場合もありますが、小さい地形の場合は国際承認のない仮称のまま学術コミュニティ内で流通していることもあります。

固有名については、付近の陸上の地理的名称を使うことが優先されますが(例えば天竜海底谷)、発見した船や機関の名前を冠すること(例えば拓洋第五海山)や、ある地形群に対して星や神話、動物などの名称を集合的につけること(例えば春の七草の名前をつけた7つの海山)などができます。また、海洋科学に顕著な貢献をした故人の名前をその栄誉をたたえるために採用することができるとされており、野崎海山はこのケースに当たります。ちなみにご存命の方の名前を冠することは原則できませんが、例外的に小笠原東方の上田海嶺(上田誠也東大名誉教授)については、既に広く論文等で使われているとの経緯を考慮して認められています。

大海研にゆかりのある研究者の中には、これまでに海底地形にそのお名前が刻まれた先生方が何人もいらっしゃいます(図2)。野崎海山のある南鳥島の近くには、友田平頂海山(友田好文教授,1926-2007,海底物理)、奈須平頂海山群(奈須紀幸教授,1924-2013,海底堆積)があります。フィリピン海には、小笠原南方に本座海山(本座栄一博士,1938-2012,助手として海底堆積に在籍のち地質調査所)、沖ノ鳥島海盆に小林海盆海嶺地形区(小林和男教授,1933-2013,大洋底構造地質)があり、日本海の北部の海山には玉木海山(玉木賢策教授,1948-2011,テクトニクス)の名前が付けられています。ぜひ一度、海底地形図を眺めて偉大な先人の功績に思いをはせてください。(沖野 郷子)
 

■海上保安庁 - 日本提案の海底地形名を国際会議が承認
http://www.kaiho.mlit.go.jp/info/kouhou/post-319.htmlこのリンクは別ウィンドウで開きます

図1 新たに命名された野崎海山

図2 大気海洋研ゆかりの先生方の名前を冠した海底地形(地形データはJTOPO30による)

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