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底魚の生物学 現状、課題、そして将来展望

更新日:2012年10月05日

(2012年10月30~31日 開催)

日 時:平成24年 10月30日(火)13:00~17:30
    10月31日(水)10:00~17:10
場 所:東京大学 大気海洋研究所 講堂
    〒277-8564 千葉県柏市柏の葉5-1-5 TEL 04-7136-6011
コンビーナー:猿渡敏郎(東京大学 大気海洋研究所)
    岩田惠理(いわき明星大学)
    藤井千春(岩手県立博物館)

大気海洋研究所対応者:猿渡敏郎
    〒277-8564 千葉県柏市柏の葉5-1-5
    東京大学 大気海洋研究所 海洋生物資源部門 資源生態分野
    TEL 04-7136-6263 tsaruwat[at]aori.u-tokyo.ac.jp
 

開催趣旨

海底で着底生活を送る底魚(demersal fish)には、タラ類、異体類(カレイ・ヒラメ類)といった水産有用資源を構成する種が多数含まれる。そのため、古くから底魚類の資源管理を目的とした、年齢と成長解析を主とした水産資源学的研究が盛んに行われてきた。底魚は水産資源学の礎を築いてきた魚類である。近年、着底トロール漁業による海底の環境破壊、混獲や投棄魚が海洋の生態系や種多様性に与える負の影響を危惧する国際的な世論の高まりが見られる。公海上の着底トロール漁業を全面的に禁止しようという動きがその好例である。しかし、水産有用魚種を除くほとんどの底魚類の生態・生活史に関する基礎的な情報が蓄積されていない。多くの底魚類で、その生態はおろか、種レベルの分類すら十分に整理されていないのが実情である。換言すると、底魚類の生物学は、分類学、生態学、生理学、保全生物学など、魚類学のすべての分野を網羅する学際的な研究分野であり、潜在的な研究課題を多数含んでいる。本シンポジウムでは、大学、博物館、水族館、水産研究所、水産試験場に所属して底魚類を対象に研究を行っている様々な専門分野の研究者に講演を依頼し、底魚類に関する研究の現状と問題点を認識し、共有することを目的とする。参加者間の意見交換を通し、底魚類研究の課題と方向性が見いだせるのではないかと期待される。
 

プログラム

10月30日(火)
   13:00~13:10 開会の挨拶&開催趣旨説明
     猿渡敏郎(東京大学大気海洋研究所)

第一部:アオメエソ(メヒカリ)を例にした底魚研究の現状

座長:米田道夫

  1. 13:10~13:40 アオメエソ研究の12年。当面の成果と課題
    猿渡敏郎(東大大海研)
  2. 13:40~14:10 東北海域におけるアオメエソの加入機構
    平川直人(福島県立水産試験場)・鈴木直樹(東京海洋大学)・成松庸二(水産総合研究センター 東北海区水産研究所)・猿渡敏郎(東大大気海洋研)
  3. 14:10~14:40 メヒカリの繁殖生理解明の試み
    岩田惠理・金古宏太郎・丹野和暉 (いわき明星大学)・猿渡敏郎(東大大海研)・山内信弥・倉石 信(ふくしま海洋科学館)・藤井千春(岩手県立博物館)
  4. 14:40~15:10 飼育下における底生魚の発光観察 -マルアオメエソ,エゾイソアイナメの例-
    藤井千春(岩手県博)・山内信弥(ふくしま海洋科学館)・猿渡敏郎(東大大海研)・岩田惠理(いわき明星大)・倉石 信・春本 宜範(ふくしま海洋科学館)

   休憩

第二部:飼育実験が明かす底魚の生態

座長:岩田惠理

  1. 15:20~15:50 飼育下におけるマルアオメエソの行動生態
    山内信弥(ふくしま海洋科学館)
  2. 15:50~16:20 飼育及び野外調査からみたハモの素顔
    上田幸男(徳島県立農林水産総合技術支援センター 水産研究所)・ 岡﨑孝博(徳島県庁水産課)
  3. 16:20~16:50 飼育下におけるエゾイソアイナメの繁殖生態
    松崎浩二・日比野麻衣・森 俊彰(ふくしま海洋科学館)

   休憩

第三部:生態系構成員としての底魚

  1. 17:00~17:30 日本近海の深海生態系における残留性有機汚染物質の蓄積と分布
    高橋 真・今川 渉・Karri Ramu・磯部友彦(愛媛大学沿岸環境科学研究センター)・窪寺恒己・長谷川和範(国立科学博物館動物研究部)・田辺信介(愛媛大学沿岸環境科学研究センター)

   18:00~ 懇親会 大気海洋研 吹き抜け

10月31日(水)

第四部:底魚類の分類と多様性

座長:髙見宗広

  1. 10:00~10:30 東シナ海における底魚類の多様性と西海区水産研究所魚類標本コレクション
    星野浩一 (水産総合研究センター 西海区水産研究所 標本管理センター)
  2. 10:30~11:00 日本の深海ザメ・ヘラツノザメ属2種の真の学名は何か
    田中 彰・野原健司・堀江 琢(東海大学 海洋学部 海洋生物学科)
  3. 11:00~11:30 ゲンゲ科魚類の種多様性
    篠原現人(国立科学博物館)

第五部:底魚類の初期生態と遺伝

座長:柳本卓

  1. 11:30~12:00 異体類浮遊仔魚の鉛直分布と輸送過程
    高津哲也(北海道大学大学院水産科学研究院)・中屋光裕(北海道大学水産学部)・城 幹昌(北海道立総合研究機構 網走水産試験場)

   昼休み

  1. 13:00~13:30 深海底棲性魚類の初期発育-セキトリイワシ科,クサウオ科およびソコダラ科を例にして-
    髙見宗広・福井 篤(東海大学海洋学部)
  2. 13:30~14:00 タケノコメバルの放流が在来集団の遺伝的多様性に及ぼす影響と多様性維持をめざした人工授精技術の確立
    富永 修・水落裕貴・小北智之(福井県大海洋生物資源)、栩野元秀・三木勝洋(香川県庁)・宮内 大(香川栽培協会)

   休憩

第六部:底魚類の生態

座長:平川直人

  1. 14:10~14:40 東北沖におけるテナガダラの分布の季節変化と生物特性
    藤原邦浩(水産総合研究センター 日本海区水産研究所 資源管理部)
  2. 14:40~15:10 アンコウとキアンコウの生殖と移動
    米田道夫(水産総合研究センター 瀬戸内海区水産研究所 伯方島庁舎)
  3. 15:10~15:40 土佐湾におけるニギスの生態
    梨田一也(水産総合研究センター 中央水産研究所 資源管理研究センター)
  4. 15:40~16:10 痩せる魚~クサカリツボダイの奇妙な生活史~
    柳本 卓 (水産総合研究センター 中央水産研究所 水産遺伝子解析センター)

   休憩

   16:20~17:00 総合討論

   17:00~17:10 閉会のあいさつ

研究集会