本書は,『東京大学海洋研究所15年史』,『東京大学海洋研究所30年史』に引きつづき,『東京大学大気海洋研究所50年史』としてまとめたものである.最近20年間の歴史を記載することに焦点を絞ったが,『15年史』や『30年史』にくらべてページ数が大幅に増えていることからも分かるように,海洋研究所と気候システム研究センターの統合による大気海洋研究所の2010年4月の発足など,記録として残すべきできごとが最近20年間に多く起こっている.編集に携わってみて,まさに激動の20年であったことを実感している.本所のこの激動の20年を,限られたスペースの中にできるだけしっかりとその背景も含めて記述することを心がけた.
50周年記念事業を準備するため,本所に「50周年記念事業準備委員会」(以下,準備委員会)が設けられた.準備委員会は,第1回会合を2011年10月に開催して以来,2012年12月まで17回の会合を持った.この間にメンバーの交替があった.委員長として50年史の基本構想のとりまとめに中心的役割を果たしていた川辺正樹教授が2012年1月に急逝した.このため,同年2月に白木原國雄が委員長として加わり,岡英太郞が委員として参画した.広報室長として委員に加わっていた西田睦は2012年3月に定年退職したが,その後もアドバイザーとして委員会に出席した.準備委員会の主たる任務である50年史作成に関わる各種作業を効率的に行うために,準備委員会のもとに編集委員会(白木原國雄,岡英太郞,西田睦,佐伯かおる,佐賀和美)を置いた.編集委員会は,終日の集中作業を含め,合計11回の会合を持ち,実質的な編集活動を推進した.
原稿の準備は,以下のように行われた.全体構成は,準備委員会で詳細に検討された.それに基づいて原稿依頼がなされた.序章は編集委員会が中心になって作成した.第1~4章は,もっとも関わりのある教職員が執筆し,他の関連メンバーや編集委員会とのやりとりを経て作成された.第5・6章は,各当該分野等で執筆したものを統合して作成された.「資料」は,事務部,共同利用共同研究推進センターおよび広報室の各担当者で基礎情報を掘り起こして整理したものをもとに,編集委員会とやりとりしながら仕上げられた.
編集委員会が苦労したことのひとつは,データのとりまとめであった.記録が不十分なために正確な記載ができなかった項目もあった.日頃からのデータ管理をしっかりと行わない限り, 20年間はデータのとりまとめには長すぎることは編集委員会メンバーの共通認識となっている.今後を考える上での参考にしていただきたい.
上記のように,本書の本文・資料の執筆者は在職の教職員であったが,情報収集には多くの旧教職員や大学院修了者の協力を得た.また,濱田純一総長,浅井冨雄,平啓介,小池勲夫元海洋研究所長,松野太郎,住明正,中島映至元気候システム研究センター長,西田睦元大気海洋研究所長から,50周年に寄せる原稿をいただいた.池田貞雄元大気海洋研究所事務部長,吉田雅彦元大気海洋研究所事務長にはていねいに原稿を確認いただいた.これらの方々にお礼申し上げる.
2012年12月
編 者
(以上,委員長と元委員長以外は五十音順)
本書の掲載内容についてお気づきの点があれば,大気海洋研究所広報室kouhou@aori.u-tokyo.ac.jpまでご一報ください.