2010年4月の本所の発足に伴い国際沿岸海洋研究センターは新設された国際連携研究センター,地球表層圏変動研究センターとともに3つの附属研究施設のひとつとして新たにスタートすることになったが,沿岸生態分野,沿岸保全分野,地域連携分野の3分野体制は海洋研究所時代のまま維持された[➡0―4―3(2)表].
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震とそれに伴う巨大津波により本センターは壊滅的被害を受けた[➡4―3―1].現在,本センターの復旧・復興作業は震災直後に大気海洋研究所に設置された沿岸センター復興対策室・復興委員会を中心に東京大学救援・復興支援室の協力のもとに進められている[➡4―3―2].東日本大震災における巨大津波が三陸沿岸域の生態系に及ぼした影響とその再生過程の解明を目指した研究を主導的に展開し,三陸地域の基幹産業である水産業復興の学術的基盤を固めることを目的として,2012年4月1日付けで教授1,准教授1,助教1で構成される「生物資源再生分野」(10年時限)が本センターに新設される予定である.生物資源再生分野は底生生物群集の群集生態学あるいは資源生態学を中心に研究を展開し,本センターの既存分野をはじめ大気海洋研究所の各分野,あるいは国内外の研究機関と連携しながら三陸地域の水産業復興に直結する研究をリードしていく.また,生物資源再生分野を含む本センターの各分野は2011年度からスタートした文部科学省「東北マリンサイエンス拠点形成事業」の中核組織として活動している.
以下に,2012年4月現在の各分野の研究理念を記す.