東京大学 大気海洋研究所50年史 1992-2001 東京大学 大気海洋研究所50年史 1992-2001

第2章 海洋研究所の活動の展開と柏キャンパスへの移転

2-6 海洋研究所の移転

2-6-5 移転後のフォローアップ

2010年4月には,大気海洋研究所発足とともに,これらの大気海洋研究棟と観測機器棟は本所の施設として活用され始めた.本所メンバーが大気海洋研究棟に入った後も,研究・教育・共同利用共同研究活動を的確にかつ快適に行えるようにするために,様々なフォローアップ活動がなされた.4月には,移転委員会は,研究棟の運用方針,研究棟取扱説明会の開催,エントランスホール・ホワイエ・各ラウンジへの什器類設置,PFI事業による建物維持管理等運営委員会への対応方法,地球表層圏変動研究センターへの部屋割りなど,今後の課題を整理・検討し,その活動を締めくくった.後を委ねられた新しい施設計画委員会(渡邊良朗委員長,小島茂明委員長代理)は,研究棟の充実やスムーズな運用のために活動を始めた.展示ケースの活用や企画展示などに関しては,展示に関するワーキンググループが検討した基本的方針を基に,その後,本所の広報室が中心となって,エントランスホール内外,ホワイエ,および各階展示ケースへの展示を実施していった.また,新しい大気海洋研究棟の見どころを解説した案内マップも作成された.なお,PFI事業者の維持管理業務について東京大学が報告を受け,その内容を検討する「東京大学(海洋研)総合研究棟施設整備事業関係者協議会」が年2回持たれている.

所員の福利厚生の面でも,大気海洋研究棟は新たな機能を有するようになった.新しい研究棟の計画を始めた当初から,本所の教育研究活動や所員の福利厚生に幅広く活用できる多目的ラウンジというスペースを設けることが考えられた.エントランスの脇に準備したそのスペースにはトイレも用意してあり,飲食店が入ることも可能なように設計してあった.2010年度になると,ここに飲食店を導入するための公募手続が進み,審査の結果,中野時代からなじみのあった寿司店の「はま」が「お魚倶楽部はま」として7月に開店することになった.「はま」は同月に開催された「東京大学大気海洋研究所設立・新研究棟竣工披露式典」でその腕をふるった.その後,所員の昼食,あるいは客人を交えての夕刻の懇親などに,大いに活用されている.柏キャンパス内の他部局の人たちの来店や出前注文も増えてきており,キャンパス全体の福利厚生にも貢献しつつある.さらに,最近では近隣の市民の利用もさかんになってきており,新棟ははからずも地域と大学との交流の場としての機能も発揮することとなった.