東京大学 大気海洋研究所50年史 1992-2001 東京大学 大気海洋研究所50年史 1992-2001

第2章 海洋研究所の活動の展開と柏キャンパスへの移転

2-1 海洋研究所の研究組織の充実

2-1-3 海洋科学国際共同研究センターの設置

海洋研究所は創立以来,数多くの国際共同研究に日本の海洋コミュニティを牽引する立場で参画してきた.大型化・国際化する海洋科学研究に対応するため,1994年6月に本所の国際活動を担う場として海洋科学国際共同研究センター(以下,国際センター)を設立した.国際センターは企画情報分野(教授1,助教授2)と研究協力分野(教授1,助教授1)から構成された.

国際センターは国外の優れた研究者を毎年,外国人客員教員として招聘するための窓口となること,共同利用研究所として所内・国内研究者の国際共同研究の萌芽を支援すること,本所と外国研究機関との学術交流協定の締結の窓口となること,海洋科学に関わる国際組織に参加すること,各種国際研究プロジェクトを研究面から推進・支援することをミッションとした.

国際センターは政府間組織であるUNESCO/政府間海洋学委員会(IOC)をはじめ,非政府間組織である国際科学会議(ICSU)の海洋に関するプロジェクト,統合国際深海掘削計画(IODP)など,海洋科学に関わる大型国際研究プロジェクトに関わってきた.また,日本学術振興会(JSPS)のアジア諸国を対象とした2国間あるいは多国間研究交流を主導してきた.

さらに国際的な海洋関係の機関や委員会などに日本から適任者を推薦し,委員会活動を積極的に支持するなど,日本の国際的研究水準や立場を高めてきた.国内においては国際的視野に立って活躍できる海洋研究者を育成し,国外においては日本の研究者と連携できる研究者ネットワークを形成してきた.国際センター教員は東南アジアやインド,中国などにおいて集中講義やセミナーも積極的に行ってきた.その結果,わが国で海洋科学に関する学位取得やポスドクを希望する外国人学生が増加し,外国人若手研究者の育成が進んだ.